<「安楽死」といういい方には、「殺処分」という冷たい法律用語の感触にくらべれば、ヒトと動物の差異をのりこえようとする優しい配慮のあとがみえる>。宗教学者山折哲雄さんが本紙の連載で書いていた▼福島の原発事故後に処分された多数の牛や豚の命の捉え方である。農家のやり切れなさを思えば、安楽死と表す計らいはあり得よう。が、同じ家畜でも鳥インフルエンザの防疫は、それとひとくくりにできないほど膨大な鶏を処分する。心的負担の大きい過酷な仕事だ▼栗原市の養鶏場で検出されたH5N6型の高病原性ウイルスの封じ込めが進んでいる。22万羽の処分に職員らが24時間態勢で当たる。被害の拡大は何としても防ぎたい▼宮城県内での家禽(かきん)への感染は初で、当初は職員の戸惑いもあったようだ。72時間以内の埋却は国が定めた目安だが、作業者の安全と健康確保も求めている。的確な人員配備で乗り切ってほしい▼処分を急ぐのは、ウイルスがまん延する可能性を一刻も早く絶つためだ。通常、人にうつることはないが、濃密に接触した場合など人への感染の恐れもゼロではない。ウイルスとの闘いに終わりはない。家禽への「優しい配慮」があるとしたら、無駄に死なせないこと。日頃からの感染防止対策の徹底しかない。(2017.3.26)