訪ねたことはないにせよ、センナヤ広場と聞いてドストエフスキーの小説を思い出す人がいるのではないか。19世紀ロシアの文豪は小説「罪と罰」などに、当時の帝都サンクトペテルブルクの下町の市場や飲み屋が並ぶ風景を描いた▼現在のセンナヤ広場はロシア第2の大都市の商業地としてにぎわう。その地下鉄駅周辺が現地時間で3日昼、惨劇の場となった。隣駅に向かう地下鉄で自爆テロとみられる爆発が起き、10人を超える乗客が死亡、40人以上が負傷した▼地下鉄は損傷したまま隣駅に着き、乗客とホームの人々が助け合って必死の救助活動をした、とCNNは伝えた。サンクトペテルブルクは帝政時代の宮殿やエルミタージュ美術館が有名な観光地。旅先の家族らが巻き込まれたのでは、と心配した人が日本にもいよう▼この街はプーチン同国大統領の出身地であり、外交行事で里帰り中の事件だった。別の地下鉄駅でも爆発物が見つかり、ロシアが内戦に介入するシリアなどとつながりある者の企てとの見方も浮かぶ▼同じ日、4000キロ近く南のシリアからの外電は、ロシアが支援する政府軍の空爆で子どもを含む市民30人が犠牲になったと報じた。現実世界でいわれなき「罪と罰」を負わされるのは常に普通の人々。それが痛ましい。(2017.4.5)