間抜けな泥棒が貧乏長屋に忍び込む。運の悪いことに汚いふんどし1本が転がっているだけ。仕方なく残り物のかゆを食っていると、家人の八五郎が帰ってきた。慌てて泥棒は縁の下へ▼古典落語『出来心』は続く。異変に気付いた八五郎はとっさにインチキ話を思いつく。「カネを盗まれた」と家主に言い、家賃の免除を頼む。だが、あれこれ盗品をでっちあげるうち、泥棒が「やい、この家には何も盗める物なんぞねえ」と現れる。最後は泥棒も八五郎も「出来心でして…」▼この人たちはどんな言い訳をするのやら。東日本大震災の復興事業として農林水産省東北農政局が発注した土木工事で談合を繰り返していた疑いが強まったとして、公正取引委員会が大手、中堅ゼネコン十数社を立ち入り検査した▼ゼネコン業界を巡っては2005年に談合からの「決別」を宣言したはずだった。しかも震災絡みで高速道路復旧工事費を食い物にし有罪判決を受けたばかり。宮城県亘理町においては官製談合もあった▼被災地は今、とにもかくにも震災前の姿を取り戻そうと誰もが力を振り絞っている。だからこそ国は支援のために13年より復興特別税を注ぐ。懲りない面々は今回も手前勝手な理屈をこね「出来心から」と言うつもりなのか。到底許されない。(2017.4.6)