「この生活を続けるのは経済的にも精神的にも肉体的にもきつい」。東京電力福島第1原発事故で自主避難した米沢市から、福島市への帰還を決めた母親の話を本紙が伝えた。苦渋の決断という▼2人の幼子を抱えて放射線の不安から、夫らと離れた二重生活を選んだ。負担を支えたのは福島県の自主避難者への住宅無償提供(災害救助法で国が手当て)だった。対象は約2万6千人。その支援を3月末、県は打ち切って帰還を促した▼自主避難者は、国が高線量の被災地に出した避難指示の区域外から、安全を求めて自ら古里を離れた人々。同区域の浪江町や飯舘村などで国が除染を終え、指示を解除したのと同時の打ち切りだった。が、県外の自主避難者の8割はなお「継続」を望む▼「古里を捨てるのは簡単。戻って頑張る気持ちを持って」と先月、テレビの討論番組で語り、長期支援が必要との意見を一蹴したのが今村雅弘復興相。今度は4日の記者会見で、自主避難者への国の責任を問われて激高した。「(避難者)本人の責任だ」「裁判でもやればいい」▼放射線への不安や危惧はそれぞれに違う。だから古里、家族と引き裂かれる葛藤に多くの人が苦しむ。原発事故の深い傷だ。今村復興相は6日に国会で謝罪したが、暴言の裏に国の本音が見えた。(2017.4.7)