作家の吉行淳之介さんが映画評論家の淀川長治さんを迎えて対談した。俳優アラン・ドロンの出世作『太陽がいっぱい』が話題になり、淀川さんは「ホモセクシュアル映画の第1号なんですよね」と言って驚かせる。聞き手は「え、そんな馬鹿(ばか)な」。『恐怖対談』(新潮文庫)から引いた▼映画は貧しく孤独な青年が大富豪の息子を殺してカネも恋人も手に入れるという切ないストーリー。だが、淀川さんが力説する「映画の文法」に沿ってじっくり鑑賞すると、隠れた意味が見えてくるらしい▼この取り組みの解釈もなかなか難しい。北海道函館市が大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟の費用に、今月よりふるさと納税による寄付を充て始めた。豪華な返礼品や控除額アップで近年関心が高まるふるさと納税に目を付けた▼どうなのだろう? 本来、ふるさと納税は都市部に集中する税収の偏りの是正と地方の活性化を目指す趣旨で始まったはず。さらにこの先、原発推進の人が市長に当選したら? とも考えてしまう。総務省は「使途は自治体が自由に設定する」と特段とがめ立てする様子はない▼淀川さんは生前「映画は人の垣根も国の垣根も取り払ってくれる」との言葉を残した。「映画」の箇所を「ふるさと納税」に置き換えて読んでみる。(2017.4.14)