「メディアにも、ファンにもいっぱいサービスした。とにかく皆さんを喜ばすことを考えた」。かつてプロ野球東北楽天の監督だった野村克也さん(81)から聞いた。セ・リーグのヤクルトを率いていた当時の話▼監督兼任を含めて現役時代をパ・リーグで過ごした野村さん。「あの頃はひたすら打撃技術を磨き、捕手として『配球をどうするか』ばかりを考えていた」。それが監督専任になると同時に客商売の視点を意識するようになったという▼博物館や美術館などにいる文化学芸員はどちらかと言えば「選手」であろう。山本幸三地方創生担当相がその仕事ぶりをやり玉に挙げた。外国人観光客らへの文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがん」「この連中を一掃しないと駄目」とセミナーで発言。17日には「観光マインドを持ってもらいたかった」と釈明し撤回した▼学芸員の守備範囲はそもそも調査研究である。日々、観察眼を養い、鋭い洞察力を培う。そこに心血を注いでこそ展示物の価値がより高まる。客の入りは監督やフロントに当たる責任者があれこれ知恵を出せばいい▼野村さんの口癖を思い出す。「最高のファンサービスは勝つこと」。学芸員の喜びは鑑賞者の道先案内人になった時か。観光マインド? 心配は無用である。(2017.4.18)