声が弾んだ。「活気づくねぇ。こういう若い人が出てくるのを待ってたんです」。天童市にある山形県将棋駒協同組合の武内昭博理事長(74)の口調は滑らかそのもの。「どこまで記録を伸ばすのか。もっともっと勝ち続けてほしい」▼将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)がすごい。愛知県瀬戸市に住むこの中学3年生、自身の持つデビュー後の連勝記録を「13」と更新中。昨年暮れにデビューし、先々週にプロ公式戦の新記録である11連勝を達成したばかりだ▼テレビ局が企画した非公式戦も、これまた強い。ついに日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(47)を倒してファンを驚かせた。23日にはいよいよ羽生善治3冠(46)に挑む。26日の公式次戦を含めて勝負の行方は一体どうなるのか▼今、世間は第3の将棋ブームと言われる。かつて1960年代初頭に歌謡曲『王将』がヒットし、96年には「羽生7冠」があった。そして今度は映画『聖の青春』『3月のライオン』が相次ぎ公開され、若きスターの誕生が後押しする▼「後継者育成にもいい影響が出る。組合としていい駒を作って応援していきたい」と武内理事長。フランスの格言に「天才が立派な仕事を開始し、労働がその仕事を完成する」とあるが、天童の職人たちも一役買う覚悟でいる。(2017.4.20)