プロゴルファー尾崎将司さん(70)がプロ野球西鉄(現西武)の選手だったことはよく知られている。日本ツアー通算94勝、賞金王12回の実績が物語るように、競技の変更でこれほど成功した人も珍しい▼『ジャンボ尾崎の19番ホール』(ブックマン社)によると、退団・転向は当時の打撃コーチ花井悠さん(故人)の一言が大きかった。「遠くへ飛ばす技術はすごい。ゴルファーになったらどうだ」。本人もゴルフ好きだったので、その気になっていったという▼自分でも気付かない才能に目を付けてくれる人が周囲にいるのは幸せである。スポーツ庁は6月より、他競技への転向を前提に、全国から将来性豊かな若手選手を発掘するアスリート発掘事業に取り組む。五輪やパラリンピックでのメダル獲得競技を増やしていくもくろみらしい▼今はメダル至上主義と目くじらを立てまい。「原石」を探す、初めての国家的プロジェクトであり、その試みを応援したい。一般社会でもミスマッチで活躍できない人が多く、事業の成果に励まされるのではないか▼そう言えばスポーツ庁の鈴木大地長官は背泳ぎ選手だった。スタートから「バサロ」キックを駆使し、潜って潜ってようやく顔を出す。水面下で耐えている人を見つけるのはお得意かもしれない。(2017.4.21)