石巻市の牡鹿半島南沖に浮かぶ離島・網地島に行ってきた。島の住民は約350人。ピーク時の昭和30年代には約3300人いたというから、およそ10分の1になった。それでも、過ごしやすいのか、移住者が多い▼移住者ら島民有志が2014年、島に活気を取り戻そうとNPO法人ジョイフル網地島を設立した。島の草刈りや道路整備に汗を流し、島の魅力を伝えようと頭をひねっている。その活動の一つがオリーブ栽培だ▼ジョイフル網地島の阿部孝博代表(72)が言う。「島には被害をもたらすシカがいない。気候も穏やかで、栽培できるのではと思った」。14年7月に15本を植え、寒さに負けずに越冬したのは13本。16年には花が咲き、今年は実を付けるのが期待される▼網地島ばかりではない。東日本大震災で被災した石巻市では他に北上、大川、雄勝と計4カ所でオリーブを試験栽培する。国内のオリーブ生産の北限を目指す。市は今年1月、産学官連携の「北限オリーブ研究会」を発足させて本腰を入れる。3年後の東京五輪・パラリンピックでオリーブの冠をメダリストに贈る構想もある▼古くから平和や勝利の象徴とされるオリーブ。北限への挑戦が、復興を世界に伝える象徴となるよう、石巻でオリーブが根付くことを祈りたい。(2017.5.21)