気仙沼市立病院が老朽化のため11月に移転開院する。新しい建物を彩ってほしいと、長野県伊那市から、伊那地域固有種で門外不出とされてきたタカトオコヒガンザクラ2本と、シダレザクラ40本が贈られた▼気仙沼市を流れる大川の桜並木は東日本大震災前、花見スポットとして市民に親しまれていた。しかし、震災で桜の木が流失したり、復興工事のために切り倒されたりで、思い出の中だけの風景になってしまった▼両市の橋渡し役となったのは、伊那市からの復興支援で2014年3月から約2年間、同病院に事務職員として勤務した北原浩一さん(56)だ。気仙沼市民が愛した桜の名所を新病院に復活させようと、伊那市の白鳥孝市長に提案した▼高遠城址(じょうし)公園で知られる伊那市は「日本一の桜の里づくり」を進めている街。市はふるさと納税を活用した「気仙沼さくら復活プロジェクト」に取り組み、寄贈を実現させた▼北原さんは白鳥市長らとともに24日、植樹式に出席、「桜が患者を癒やすよう願っている。時々この桜の様子を見に来たい」と話した。小ぶりな花で紅色が濃いのが特徴のタカトオコヒガンザクラは樹齢7年、高さ3メートルで、来春には花が見られるという。桜の季節は過ぎたばかりというのに市民は早くも、春を待ちわびている。(2017.5.29)