「私の内閣の方針に反対する勢力は、全て抵抗勢力だ」。16年前、首相として初の衆院本会議でこう叫んだのが小泉純一郎氏。郵政事業の既得権益打破を訴えて2カ月後の参院選で圧勝し、「聖域なき構造改革」を看板に長期政権を保った▼同じ自民党の郵政族議員ら、抵抗勢力とされた側はたまらなかった。「小泉劇場」と呼ばれた派手な言動を武器に仁義なき闘いを挑まれ、2005年の郵政民営化法成立で白旗を掲げた▼抵抗勢力なる言葉を久々に聞いた。29日の参院本会議での安倍晋三首相の答弁。小泉氏の首相在職日数1980日を前日に抜き、高揚感もあってか「政局目当てで既得権益に妥協したり、抵抗勢力と手を結ぶようなことは決してしない」と力説した▼こちらは今「安倍1強」の与党に抵抗勢力の姿が見えず、闘う相手は新たな疑念の影か。規制緩和策の国家戦略特区で、愛媛県内への大学獣医学部新設を巡って「総理の意向」と記された文書があると報じられた問題。答弁で首相は否定したが、前文部科学省事務次官が「文書は存在」「行政がゆがめられた」と主張する▼政府は強固な抵抗が残る既得権益を「岩盤規制」と呼び、「改革のドリルで穴を開ける」手法の柱とするのが国家戦略特区。さて、岩盤の底から何が出るのか。(2017.5.31)