ずんぐりむっくりした見た目のせいだろうか、どことなく土の香りがする力士である。出身は茨城県土浦市。泥の中で育つレンコンが特産で生産量は日本一。土、土としつこく言うと、角界では黒星を意味して押し出されそうなので、この辺で止めておく▼きのう大相撲で大関昇進が正式に決まった高安(たかやす)関(27)。伝達式での口上は「正々堂々、精進します」。約1年前から胸に秘め、闘ってきたという。「要は土俵だ」。そんな強い決意が読み取れた▼大関への道を切り開く上で大きな武器となったのが強烈なかち上げ。前腕を折り曲げて脇を締め、立ち合いで胸から思い切り当たる。11勝を挙げた夏場所では何番も相手がはじき飛ばされていた▼日本人の父とフィリピン人の母を持つ。部屋の兄弟子、横綱稀勢の里関(30)が春場所で逆転優勝した時は、支度部屋で「感動した」と大泣きした。稽古で苦楽を共にした絆であろう。だから横綱も常々「(高安関を)大関に引き上げるのが役目」と言っていた▼新大関、実は東北が根っことなる偉大な系譜にその名を連ねる。先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里、青森市出身)は「土俵の鬼」こと元横綱初代若乃花(弘前市出身)が興した二子山部屋出身。伝統の「土」にまみれた稽古で、上を目指してほしい。(2017.6.1)