「ラッキーだったかもね」。仙台市のKoboパーク宮城で先月26日に見たプロ野球東北楽天の試合の翌日、知人から言われた。寒い小雨の中、相手の西武に5点を取られて逆転負け。でも、今季は負け試合に当たるのが珍しい、という妙な慰めだった▼パ・リーグ首位を独走して交流戦を迎えた東北楽天に1日、胸のすくような新記録が生まれた。エース則本昂大(たかひろ)投手(26)が巨人から12個の三振を取る快投で、前人未到の7試合連続2桁奪三振の記録を達成した▼応援席の興奮は1球ごとにすさまじかったろう。「ファンの声援が力になった」という勝利後のコメント通り、八回に3連続三振と威力が増していった。これぞエースの姿に、いまはヤンキースにいる田中将大投手の頼もしさを重ねた人も多いのでは▼同じ満員の球場、同じ巨人が相手とあって、あの日がよみがえった。東日本大震災の傷に東北が苦しんでいた2013年秋、日本シリーズ最終戦の九回。エース田中投手が最後の打者を三振に切った。日本一を決める魂の一投だった▼田中投手の渡米後、後を託された重圧に則本投手は苦しんだそうだ。「本当につらかった」という言葉が昨日の本紙にあった。そこから解放されたようなエースの快挙につい、早すぎる優勝の夢を見てしまう。(2017.6.3)