しゃくし定規、前例主義、事なかれ。「役所仕事」を検索すると出てくる言葉だ。実際には住民とつながり刷新に挑む自治体は多い。だが「いじめ自殺」問題では、当事者への寄り添いを忘れた役所の失態が目につく▼茨城県取手市の中学3年生が自殺したのは2015年11月。いじめを訴える日記を残したが、市教委は「事実を確認できず」として形だけの第三者委員会で対応。憤った両親が先月末、文部科学省に直訴したところ、翌日に市教委は判断を翻し謝罪した▼同省が教育長らに、遺族の声に沿う調査を直接指導した。同様の出来事が、仙台市立中2年生が4月に自殺した問題であった。いじめ被害を生前の校内調査で明かしたが、市教委は当初「断定できない」。だが、やはり同省から指導を受け、市長と教育長が呼ばれ調査を求められた▼「いじめの疑いが生じたら、すぐ調査を」と同省は3月に改定指針を示した。いじめ防止対策推進法はできたが、いまだ「学校の不適切な対応が児童や保護者に被害や不信を与えている」ためという▼「文科省が耳を傾けてくれるなら、地元の教育委員会を誰も頼みにしなくなる」と、ある自死遺族は言う。当事者の厳しい声から改革を始めねば、国の介入も日常になる。教育現場の危機でなくて何だろう。(2017.6.4)