世界で一番有名な橋といえば、米国サンフランシスコ湾の金門橋か、英国の首都ロンドン中心部のロンドン橋か。ただ、テムズ川に架かる後者は完成後40年ほどの地味なコンクリート橋である。高名さと見た目の落差の理由は、あの歌にある▼「ロンドン橋が落ちた。どう架け直そう」。聞き覚えのある童謡集マザーグースの詩は本当の出来事だった。橋は幾多の戦乱、嵐、大火で焼けたり崩れたりして多くの犠牲者を出し、木造から石造り、今の姿へ変遷した。そんな橋にまつわる歴史に思わぬ惨事が加わった▼ロンドン橋で現地時間の3日夜、ワゴン車が通行人を次々とはねた。乗っていた男3人は、橋のたもとの食べ物市場でも客を無差別に刺したという。これまで外国人を含む50人以上が死傷した▼過激派組織イスラム国(IS)のニュースサイトが犯行声明を伝えた。英国では、3月に同じロンドンで5人が死亡した車暴走テロ、先月はマンチェスター市のコンサート会場で22人が亡くなる自爆テロが起き、衝撃と悲嘆が続くさなか▼約6千キロ離れたアフガニスタンでも先月、90人の命を奪う爆弾テロがあった。脅かされるのは常に無防備な市民。国や宗教による分断を超え、テロなき世界へと人々が声を上げ連帯できる堅固な橋を架けられないか。(2017.6.6)