学校、新聞、病院…。日本は明治維新で諸外国から多くの技術や制度を採り入れた。渡航経験がある福沢諭吉は『西洋事情』に「西洋の実態を政治や社会制度の面から正しく理解して、それにふさわしい国際関係を築く」と記している▼とはいえ、むやみやたらに西洋化の方向に突き進んでは、伝統に育まれた日本らしさを失う。だから主体性を保ちながら学ぶことが大切である、とも説いた。外の意見に素直に耳を傾けつつ、しかし無批判に陥ってもならない、と言うのだから「学ぶ」とは何とも難しい▼日本政府は最近、内政に関し国連の報告者2人から相次いで指摘を受けた。共謀罪法案で「プライバシーに関する権利に影響を及ぼす深刻な懸念がある」と批判された。特定秘密保護法でも、報道が萎縮している可能性に言及しながら法改正の勧告を受けた。さて、ここで聞く耳を持てるかどうか▼安倍政権が「これは日本のことだから黙ってて」という態度なら、福沢がかつて目指した国際関係を諸外国と築けまい。謙虚に外に学ぶ姿勢は日本の良さであった▼さらに内なる声として、国会審議では野党の反対意見にも耳を傾けてもらいたい。議事運営は与党の独り善がりであってはならない。丁寧な議論こそが日本の主体性を保つことにつながる。(2017.6.7)