「朝飯前だ、安心しな」。威勢のいい兄さんが胸をポンとたたく音が聞こえるようだが、「朝飯前」はもともと江戸っ子の生活習慣に端を発する言葉である。「昼飯前」と「昼飯後」の時間はあくまで本業に費やす。早朝は近所で世話を焼いたという▼例えば長屋の住人に病人が出ると、「そりゃて~へんだ、いっちょ面倒みるぜ」ってことになる。「傍(はた)」を「楽(らく)」にする。「はたらく」という動詞は江戸っ子の駄じゃれから来たとの説もある▼宅配便各社がドライバーの一部に週休3日制の導入を決めたほか、検討を始めた。別の業種では在宅勤務の日数を増やす動きが活発化。何よりも人手不足が背景にあるものの、社員側からすればボランティアなど多様な生き方が可能になる▼しかし、である。これらのニュースで挙がった会社はどれも著名な企業。一方、中小企業は今いる従業員の力に頼らざるを得ず、交代要員を容易に確保できない。企業間格差は広がるばかりではないか▼政府は高齢化社会や女性活用などの観点からも「働き方改革」の旗を振る。公立学校の夏休みなどを別の時期にずらし、親も有給休暇を取りやすくする「キッズウイーク」はその一環。みんなが納得して休めるようになるのか。なかなか朝飯前の話ではない。(2017.6.8)