物心がつく年頃とは、何歳ぐらいだろうか。世の中のいろんなことやデリケートな人間関係、人の気持ちについて分かり始めるのは▼宮城県七ケ浜町向洋中3年の小野寺優羽(ゆう)さん(14)が5月、校内行事で「語り部」をした。陸前高田市で東日本大震災に被災。津波で祖母と母を失い、双子の姉美羽(みう)さん(14)と、七ケ浜町に住む里親に引き取られた▼「家がどんどん流されているのが見えました」「母の遺体が運ばれてきて『顔を見る?』と聞かれましたが、私は見ませんでした」。震災当時、小学2年生。これほど鮮明な情景を小さな瞳に焼き付けていたことに驚く▼リハーサルをしたとき、担当の瀬成田実教諭(59)は気になった。亡くなった祖母や母への気持ちが原稿に記されていない。「書けるなら書いてほしい」と促した。「泣いてもいいですか?」。「泣いてもいいんだよ」。同級生もうなずいた。優羽さんは目に涙をため、顔を紅潮させて胸の内を明かした。「短い間だったけど、育ててくれて本当にありがとうと伝えたい」▼その言葉は後輩の心に響いたようだ。「災害が起きても、大事な人、物、場所を守りたい」と生徒は感想を書いた。震災の記憶は防災意識を育む。それを14歳の語り部が教えてくれた。あすは「みやぎ県民防災の日」。(2017.6.11)