「その時に死ねばよかったのにね」。1歳半で脳性まひと分かった長女(53)について、知人が発した言葉を下郡山和子さん(78)=仙台市=は思い出す。「悪気でなく無知ゆえだと心に収めていた」▼娘を育てながら障害のある子どもと母親の自立支援に奔走し、いまは市内で通所施設やグループホームを開く社会福祉法人「つどいの家」の理事長。「あの言葉が現実になった」と衝撃を受けたのは昨年7月26日だ▼相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刺殺された事件。「障害者は幸せと思えない」「殺すことが救う方法」と、容疑者の元職員の男が供述した。つどいの家のスタッフ、親たちは事件への思いをこのほど広報誌「つどい」につづった▼「『強い者が勝ち』の風潮がのし歩いている」「幸せは障害があってもなくてもわが子に願う」「障害があるから寄り添い、苦労を共にし、喜びを分かち合う」「息子は普通学級に入ったが、この子がいるからクラスがまとまれたと言われた」▼事件から間もなく1年たつが、通所者は変わらず街を散歩し住民と交流する。「施設に塀を築くのでなく、地域に開かなければ」と下郡山さん。きのう閣議決定された本年版の障害者白書も事件を取り上げ、共に生きる社会の実現を訴える。(2017.6.14)