生誕108年祭が19日に五所川原市金木町で行われた太宰治。古里の風土を愛した作家だけに、紀行文『津軽』を読み返してみた。えっ、と思う場面がある。ある家へ行くと、主人が縁側につった干しタラを振る舞う。さらに「おい、醤油(しょうゆ)を持って来い。干鱈(ひだら)には醤油をつけなくちゃ駄目だ」と妻に命じる▼いくらなんでも塩辛くないか。弘前市出身の会社の同僚に聞くと、津軽では当たり前の家庭料理という。「皿にむしって、しょうゆや唐辛子をかける。鶏卵も落とすと徐々に柔らかくなって、これがうまい」▼健康への悪影響は歴然としている。厚生労働省が5年ごとに行う都道府県別死亡率調査(2015年)で、青森がまたも男女で最悪だった。特に男性は人口10万人当たり585.6人が亡くなり、阪神・淡路大震災のあった1995年の2位を除き75年からずっとワースト▼青森県の担当者によれば、県民の塩分摂取量は1日平均11グラムで今なお目標の8グラムに届かない。「野菜摂取と禁煙、あとは健診の受診率向上と要検査に対応するように呼び掛けたい」と躍起だ▼模範がある。今回の調査で死亡者数最少は男女とも寒冷地の長野だった。体を気遣う料理。このもてなしなら、太宰先生も気配りにきっと涙を流して喜んでくれたに違いない。(2017.6.21)