ホヤ刺し、ホヤ酢、へそホヤ、蒸しホヤ。石巻から直送の味が先夜、東京で飛ぶように売れた。宮城県の若手漁業者らの団体フィシャーマン・ジャパンがJR中野駅前で直営する「宮城漁師酒場 魚谷屋(うおたにや)」の催し。同市鮫浦の阿部誠二さん(33)が水揚げした▼客は70人余り。「こちらではホヤを初めて食べる人が多いが、新鮮な味は大好評だ」と店長魚谷浩さん(37)は語る。神戸市出身で、石巻の浜で被災地支援を続けた。1年前にできた店では毎月「漁師ナイト」を企画し、漁業者と東京の人々をつなぐ▼新鮮さには秘密がある。「活(い)け越し」という方法だ。「水揚げしたホヤを出荷前に水槽で1日落ち着かせ、ふんも出させ、健康な状態にしてやる」と阿部さん。臭みのない本来の味を保てる▼宮城県のホヤ産地では、大消費地の韓国が輸入規制を続けるため、昨年から養殖の生産過剰分を処分している。これも風評被害。「今季のホヤは育ちが良く大きい。処分に出すのが残念」という阿部さんは、魚谷屋の催しに参加し客と語りあった▼「地元の浜でないと食べられないうまさだ」と横浜の居酒屋の主人らがうなったという。「魚谷屋のような直送先を開拓できれば、傷みの早さが難だったホヤを全国にも広められる」。漁師が陸に上がって売り込む。(2017.6.22)