石巻市雄勝町は特産のすずりで知られる。材料は雄勝玄昌石(げんしょうせき)。薄くはがれるスレートだ。豊かな鉱脈に恵まれた町の人々は屋根材にも用いた。「伝統の粘土瓦と違う涼しげな風合いが魅力」と東北工大教授の大沼正寛さん(45)。現存するスレートぶきの民家を仲間と発掘している▼5年前、戦災で焼失したJR東京駅・丸の内駅舎の屋根の復元に雄勝町産スレートが使われた。「明治の官庁建設ラッシュで大量の西洋瓦が必要になり、『国内に産地がある』と雄勝町が一躍注目された」という歴史の一端だ▼民家では明治から戦後、カヤに代わる屋根材として地産地消された。独特の景観と文化に引かれ、大沼さんは17年前から現地に通った。「500棟以上残っていたが、今は100棟ほど」に激減。6年前の東日本大震災の影響だ▼地震と津波、家屋解体であっという間に消えた。保全が急務となって調査に歩いた結果、やはり採掘地が地元にあった登米市、宮城県南三陸町、陸前高田市などでも2千棟を超えるスレート屋根を確認できた▼「スレート千軒講」。50年後にも貴重な遺産を千棟は残そうと、大沼さんらは民家の持ち主とスレートぶきの技術伝承者、支援者をつなぐ集いを始める。初回は来月8日、雄勝町の旧大須保育所・ともいきハウスで。(2017.6.30)