海を泳ぐマンボウを見たことがある。10年近く前、メカジキをもりで突く「突きん棒漁」の取材で、気仙沼漁港を拠点に漁に出る船に乗せてもらった時のこと。日光浴でもするかのように、銀色に輝く巨体を横にしてぷかぷかと海面に浮いていた。漁船の気配に気づくと意外な素早さですっと海中に消えていった▼東京電力福島第1原発の廃炉に向けて開発された水中ロボットが「ミニマンボウ」と名付けられている。深さ6メートルの冷却水がたまっている3号機の原子炉格納容器の下部に潜り、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)がどこにあるかを探るのが役目▼直径13センチ、長さ30センチ。ずんぐりむっくりの体形は異なるが、水中をゆっくり進む姿から命名された。過去に格納容器の内部調査で使われたロボットの中には、その形状から「ヘビ」や「サソリ」になぞらえられたものもある▼ただ、いずれのロボットも溶融燃料のありかを突き止めることはできなかった。想定外の堆積物に行く手を阻まれるなどしたためだ。ミニマンボウは7月に投入される予定▼神奈川県横須賀市の研究施設で先日、操作訓練が公開された。格納容器を再現したプールでスムーズな動きを披露したミニマンボウ。真っ暗な原子炉の海を泳ぎ切り「獲物」をとらえることができるか。(2017.7.3)