私は4歳くらいの雌猫で名は「イワシ」。動物病院の先生が付けた。2月末の寒い夜、交通事故で頭に大けがをし、人に助けられた。いっぱい応援をもらい、目は見えなくなったけれど頑張って生きている▼『吾輩(わがはい)は猫である』風に語ってもらうと、こうか。イワシが本紙で紹介されたのは6月8日。多賀城市内の道で瀕死(ひんし)の状態で住民に救われ、手術で命を取り留めた。左目摘出、右目の視力も失うという痛々しさ▼治療費が高額になり、相談を受けた宮城県七ケ浜町の鈴木艶子さん(47)がインターネットで支援を募った。捨てられる犬、猫の保護や避妊、里親探しを15年続ける。「必死で生きるイワシへの応援を祈るばかりだった」▼思いが通じ、浄財はネットが87人、振り込みが85人に上り、計91万円に達した。鈴木さんにも100本近い激励の電話があり、宮城県南三陸町に住むペット美容師の女性は「元動物病院看護師なので、イワシを世話したい」と申し出た。傷が癒えた姿とともに続報が載ったのは今月2日▼イワシも元は飼い猫だったらしい。無責任に捨てられた犬や猫が路傍で死に、保健所で殺処分にされる。その悲しさを多くの人に知ってほしいと鈴木さん。「生かされたイワシを引き取り、その命の日記をネットで伝えていきたい」(2017.7.9)