老朽化を理由に解体が決まっていた歴史的建造物が、保存されることになりそう。塩釜市にある江戸期の旧書院「勝画楼(しょうがろう)」のことだ。建物を所有する塩釜神社が、市に無償譲渡する方向で話し合いが進んでいる▼小欄で以前、解体するのは惜しい、と書いたが、保存を求める声は市議会、市民に広がり、本紙への投書でも再評価する声が相次いだ。市が文化財の指定を検討すると聞いて、多くが胸をなで下ろしたのではないだろうか▼仙台藩主らが滞在の際に使った広間「御成之間(おなりのま)」が調査で見つかり、状況が一転した。修復記録と照合すると、1640年代以前の建築とみられる。「伊達の武家文化の精華」と研究者がたたえる建物の価値は、より一層高まった▼昭和期建築の杉村惇美術館、大正の旧亀井邸、明治の旧えびや旅館、それに江戸の勝画楼を加えると、塩釜市中心部の半径数百メートル内に時代の異なる四つの歴史的建造物が残ることになる。他に類を見ないエリアが誕生し、まちづくりや観光面での効果は計り知れない▼今年は初代仙台藩主伊達政宗(1567~1636年)の生誕450年に当たり、業績に再び光が当たっている。政宗も晩年、勝画楼に泊まったかもと想像する。「残ってよかった」と、泉下から政宗の声が聞こえてきそうだ。(2017.7.10)