「原子爆弾の犠牲者であるヒバクシャたちが、核兵器禁止条約を生む原動力になった」。国連本部は7日、条約採択を世界に発信したニュースで、72年前の広島、長崎の被爆体験を広めた人々の努力をたたえた▼条約は核兵器廃絶を目指し、使用や実験、保有、核の「威嚇」も禁じる。長年実現が議論され、昨年2月から制定会合が続いた。前文には「ヒバクシャ、核実験で影響を受けた人々の受け入れ難い苦難に意を注ぐ」と記された▼両被爆地を訪れる外国人に高齢の語り部らが応援を訴え、296万筆もの「ヒバクシャ国際署名」を集めた。「この日を70年待った」と国連本部で語ったのはカナダ在住のサーロー節子さん(85)。広島で被爆し、姉や弟、親類や女学校の級友らを失った▼苦難の戦後を生き、結婚して渡ったカナダや米国で、被爆者の声を英語で伝える活動を始めた。脅迫も恐れず核廃絶を訴えてきた。が、人生の喜びも半ばだ。当の日本政府が米など核保有国に同調し「核の傘はなくせない」と早々に条約不参加を決めたからだ▼「ヒバクシャは裏切られ見捨てられた思い」とサーローさんは以前、国連本部で語った。人道、倫理に反するものを造るべからず。堂々とそう言えず、核兵器開発に躍起になる隣国にどんな説得力があるか。(2017.7.11)