原子炉格納容器の底部で溶岩のように広がる黒っぽい塊。降り積もった砂状の堆積物。東京電力福島第1原発3号機の格納容器の底部で、水中ロボットが撮った。溶融燃料の可能性のある物体だという▼爆発から6年余りを経て、ようやくここまで分かってきた。そしてこの塊こそが日本の行く手に漂う暗雲だと気付く。ただ、これをどうやって取り出すか、その工法は決まらず、1、2号機の容器内部がどうなっているかも見当がつかない。雲は厚く、まるで雷鳴さえとどろく▼2020年東京五輪の開幕まで3年を切った。きのうは青森市から東京までを市民ランナーらでつなぐリレーがスタート。華やかさの裏側で、あらためて安倍晋三首相が招致演説で言及した原発事故を巡る「アンダーコントロール」発言がむなしく思い出される▼目指す「復興五輪」もそうだ。希望が見えてきた、と感じる被災者はどれほどいるだろう。神戸大大学院の小笠原博毅教授(社会学)は「五輪が復興についての印象操作の道具にされている」と本紙で指摘した▼その二つは寄り添うどころか離れ離れの関係になった。東京五輪は東日本大震災を強制的に忘れさせる機能を持っているようだ。都合の良くないものは見るな、と。「頑張れ福島!!」。暗雲に挑む闘いもある。(2017.7.25)