船を岸につなぎ留めることを「もやい」という。『広辞苑』によれば、船と船がつながっていたり、2人以上の者が共に仕事したりする時もこの言葉を使う。漢字で「舫い」と書く▼民進党の蓮舫代表(49)が辞任の意向を明らかにした。名の通りに、党の運営を港のごとくどっしり構えてやりたかっただろう。だが、多くの船は勝手気ままに漁へ出掛け、岸壁の舫いぐいにロープを巻いてくれなかった。記者会見で「遠心力を働かせてしまった」と寂しく語った▼昨年9月の就任以来、港から見える風景は霧が深い状況が続いた。「安倍1強」、足元を見れば「寄り合い所帯」である。国民に向け、与党との対立軸として明確な大漁旗を掲げようとしたものの、結局かなわなかった。勝負とみた東京都議選も沈没に近い惨敗を喫した▼反転攻勢の芽はあった。安倍政権の支持率が急落する中、仙台市長選で党所属だった元衆院議員郡和子氏が当選。やりようによっては上げ潮に乗れた。だが、いかんせん通信指令役の幹事長が降りて沖合の船団と交渉ができなくなった▼民進党は9月上旬までに代表選を行う。10月には青森、愛媛両県での衆院ダブル補選を控える。「1位じゃなきゃ駄目なんです」。もやい結びのできる新港の顔が現れるといいが、さて…。(2017.7.29)