♪十年はひと昔暑い夏 おまつりはふた昔セミの声…。井上陽水さん自作の『夏まつり』である。歌詞にちりばめられる浴衣、綿菓子、笑い声。日本人なら、それらの言葉を聞くだけで「ああ、そうだったな」と遠い夏を追憶するだろう▼仙台市内を走る観光バスが日を追うごとに増えてきた。先週末は「相馬野馬追ツアー」の一行を見た。週が明けたら、「東北夏祭りツアー」のバスがホテル前に停車していた。旅の乗客はきっと、行く先々でそれぞれの夏祭りの記憶を重ね合わせて見るに違いない▼きのう盛岡さんさ踊りが始まり、きょう東北三大祭りのトップを切って青森ねぶた祭が開幕する。秋田竿燈まつり(3~6日)、仙台七夕まつり(6~8日)も間近である。期間中、何とか好天に恵まれるといい▼一方で、大きな祭りをここ数年複雑な気持ちで見ていた人たちもいよう。東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県山元町笠野地区の八重垣神社は先頃、ようやく新社殿が完成し夏の例祭を行った。祭りばやしが復活してこそ、余裕が生まれて大きな祭りも楽しんで見られる▼歌『夏まつり』は締めの歌詞が♪ふるさとはふた昔夏まつり。「随分帰ってないなあ」との心境で終わる。「いつかまた古里に帰りたい」と思う人も多いかもしれない。(2017.8.2)