暑さを逃れ、木陰の沢をたどると清水があった。冷水でのどを潤すと、かさこそと動く沢ガニが見える。先日訪ねた宮城県加美町石母田地区。住民はこの環境を子どもたちの「水の学校」として大切に守る▼近くの池には小魚がいっぱい。「メダカですよ」と教えられた。農薬や雑排水などの影響で今や絶滅危惧種だが、ここは別天地。水環境がつながる周囲の水田と合わせ「めだかの学校」と命名され、地元宮崎小の児童らが農家から自然の営みを学ぶ▼山あいの石母田は、過疎や農業衰退が東北の他の農村と同じく進みかけた。住民が選んだのは「ふる里保全会」(渡辺俊次理事長)の結成。2007年、九つの集落と農協、土地改良区、老人会、宮崎小などが、農地と水、環境を丸ごと守ろうと協定を結んだ▼補助金を活用し、153人の会員が活動に参加する。農道の草刈りや水路の泥上げなど共同作業とともにホタルの幼虫を放し、水田脇の道に球根を植えて「花街道」にし、間伐材の丸太を斜面に延々と敷いて草刈り用の足場を作った▼10周年の今年、保全会はNPO法人格も取得した。「一番の課題は地域の高齢化。培った絆を支え合いに生かし、弁当宅配などの事業も始めたい」と副理事長の渡辺哲さん(66)。住民が共に生き続ける未来を描く。(2017.8.3)