「1億総活躍社会」「女性が輝く社会」「未来投資」「地方創生」「働き方改革」「地球俯瞰(ふかん)外交」…。商業ビルの出店のように、事あるごとに新看板の公約を増やす安倍政権。それらの成果も定かならぬうち、先日の内閣改造で新手が現れた▼「人づくり革命」。経済再生担当相の兼務というが、「いったい何なの?」の声が周囲にもネットにもあふれる。中身は保育や教育の無償化といった政策の看板掛け替えで、4兆円を超えるという財源確保も見通せない▼採決強行で支持率が落ちたりすると、受けの良さそうな新看板で目先を変える。それが政権の常の策だった観があるが、加計(かけ)学園疑惑、陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題などで国民の信頼が薄らぐ今、唐突な「人づくり革命」の言葉に説得力はあるのか▼「人づくりとは何ぞや」を考えたら、父親が大切にする桜の木を切ったことを告白したジョージ・ワシントンの逸話が浮かんだ。初代米国大統領の原点は「勇気をもって正直に語る」ことだったと誰もが知る。が、子どもが出合う世の矛盾は「正直でない大人」が多いこと。政治家が代表格と見られている悲しき現実も▼社会の宝である子どもの成長、子育てを国が助けるのは当然。だが、安易な看板掛け替えは「仏作って魂入れず」の類いになる。(2017.8.5)