昔、東京で「ゴジラ映画」特集に通い、昭和に作られた十数本をまとめて見た。恐ろしかったのは水爆実験で目覚めたゴジラ登場の第1作(1954年)。同年に起きた第五福竜丸被ばく事件を反映し、放射能をまき散らす怪物だった▼迫真の作品は米国でも大ヒットし、怪獣映画の金字塔となる。生みの親は3人の東北人だった。監督を務めた鶴岡市出身の故本多猪四郎さん、特撮を担った須賀川市出身の故円谷英二さん。そして、着ぐるみのゴジラを演じた酒田市出身の中島春雄さん(88)も7日、鬼籍に入った▼第12作「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」(72年)まで出演。ゴジラは悪役として暴れ回り、後に宇宙怪獣や公害怪獣らと戦う地球の守り手になるが、憎めない「人間味」が魅力で、漫画のギャグの「シェー」も披露し観客を笑わせた。中島さんの演技の味だった▼18歳で俳優を志したが芽は出ず、戦争映画で火だるまになるスタントに挑み、ゴジラ役につながる。5年前、古里でのトークショーで「100キロもある着ぐるみは猛烈に暑かった」「動物園のゴリラや熊の動きを研究した」と当時の苦労を語った▼今もゴジラの新作はヒットし、テレビの特撮ヒーローものも廃れない。その人気を支える「スーツアクター」たちの先駆者だった。(2017.8.9)