住所はS市紅葉区杜王町。「牛たんミソ漬け」が名物で、3月11日の大震災では大きな被害を受けた。仙台市出身の漫画家荒木飛呂彦さんの「ジョジョリオン ジョジョの奇妙な冒険Part8」は、故郷がモデルのこんな街が舞台だ▼地震により海岸の近くに隆起した断層「壁の目」で、記憶喪失の青年が発見されたところから物語は始まる。「壁の目は防波堤のように何かを守るためのもの」と荒木さん。東日本大震災では沿岸部にあった荒木家の本家も津波に流された▼今年は作品誕生30周年。記念の原画展「ジョジョ展 in S市杜王町2017」が12日、仙台市で開幕する。仙台開催は2012年以来となる▼前回は3万人が訪れ、作中と同名の履物店などは「聖地巡礼」のファンでにぎわった。最新シリーズは広瀬康穂、八木山夜露、作並カレラら地名をもじった人物が登場。この夏、意外なスポットが人気を集めるかも▼ファンに足を延ばしてほしい場所がある。被災から間もなく6年半の沿岸部だ。あの日を境に住民の営みは一変した。復興のつち音が響く一方、月命日の集中捜索のように被災直後と変わらぬ光景が今も残る。震災の爪痕に向き合う被災地巡礼はきっと、犠牲者へのレクイエムとなり、風化を防ぐ「壁の目」になる。(2017.8.11)