東日本大震災で壊れ、復元された大崎市岩出山の有備館(旧岩出山伊達家の学問所)の傍らに、城下の外堀だった清流、内川がある。石積みの護岸や風情ある橋を巡る散策路を歩いた。この貴重な景観を、26年前の住民たちの運動が守った▼「U字溝で大改修する国などの案に住民が反対し、内川を街に生かし続けようと提案した」と真山智さん(80)。隊長を務める「内川ふるさと保全隊」(107人)の仲間と、児童らの生き物調査や夏祭り、除草作業、藤棚作りなどの活動を続ける▼内川は実は川でなく、430年近く前、伊達政宗が開削させた農業用水。北上川支流の江合川から高度な土木技術で導水され、途中86カ所の分水ぜきから水路を網の目のように広げ、周辺の3300ヘクタールもの水田を今も潤す▼大崎地方では多くの農業用水網だけでなく、水管理を各集落の共助組織「契約講」が担い、洪水時に遊水池となる蕪栗沼、品井沼なども整備され、冷害克服の優れた農法も開花した。東北を代表するコメどころ「大崎耕土」は長い営みのたまものだ▼水を巧みに利用し、豊かさを生む。そんな先人の知恵が培った大崎耕土を丸ごと「世界農業遺産」=国連食糧農業機関(FAO)認定=に登録しようと、大崎市など地元5市町が準備を進めている。(2017.8.23)