イタリアの多くの人に「野良猫」という概念はない。世界中のネコを撮り歩く動物写真家岩合(いわごう)光昭さん(66)によれば、「市民の飼い猫であり自由な猫」(『イタリアの猫』新潮文庫)という存在である▼古代ローマが、ネコを大切にするエジプトの影響を受けたためと言われる。だからペットショップでの販売はなく、殺処分も皆無とか。ついでに1969年に日本で大ヒットした歌『黒ネコのタンゴ』は原曲がイタリアの童謡である。でっ、街中のふん尿は? 大目に見るから社会問題にもならないらしい▼イタリア人には理解に苦しむ記事だったかもしれない。岩手大の研究チームが、ネコのふん尿被害を防ぐには別のネコの尿が効果的という研究成果を発表した。「今後、忌避剤の開発につなげていく」という▼「庭に入り込まれて草木が枯れてしまった」「玄関前にいつもあるんだ、あれが」との苦情が絶えない日本。庭先の水入りペットボトル、つるした生ニンニクなどが効果をなかなか発揮せず、撃退を諦めかけていた人たちには朗報だったろう▼問題の解決法は実はみんなが分かっている。野良猫に餌はやらない、飼い猫は家の外に出さない-。そうすれば、逆にネコに親しむ人が増えるのではないか。「撃退」なんて言葉はあまりにも寂しい。(2017.8.24)