在日米国人のエッセイスト、イーデス・ハンソンさん(77)は外国語教育について一家言を持つ。「教室で行う授業はホンの出発点にしかすぎない。まず、考える力と豊かな感受性を養うことだ」。数年前、本紙掲載の寄稿でも持論を説いた▼確かに今の世の中、インターネットによる翻訳機能は日々進歩し、外国旅行ならスマホや電子辞書が力強い味方になってくれる。語学力を身に付けるとは、そんな小手先を超えたところにあるとハンソンさんは指摘する▼文部科学省はホンの出発点にしかすぎない時期の授業を重視した。来年度予算の概算要求で、小学校で英語などを専門に教える「専科教員」の2200人増を盛り込む。英語が3年後から教科化されるためだ。授業のコマ数が増えるわけだから、これで教員の負担増が緩和されるといい▼気になるのは次期学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の実践。児童はまずABCから簡単な英会話を覚え、次に深い学びを強いられる。小学生がそんなこと果たしてできるのか▼学校側も大変だ。担当教員の配置はそう容易なことではないだろう。ハンソンさんの言葉をエールとして送りたい。「伝えるべきモノがなければ、いくら流暢(ちょう)に話されても、松風や潮騒の味わいすらない雑音だ」(2017.8.26)