日本人の心を落ち着かせるイメージは、静かな海に向かっている情景という。作家の辻邦生さんが『日本の名随筆 海』の後書きで記している。「日本人にとっての海は、魂の最も深い場所で生きている」。もしそうならば、若者が自分と向き合うのに最適かもしれない▼プロ野球東北楽天のキャンプ地・沖縄県久米島町は、四方をコバルトブルーの海で囲まれた離島だ。町は県外から久米島高校への留学生を募っている。先日、仙台で初めて開かれた説明会を聞いた▼寮と併設する町営塾のゼミが興味深い。マーケティングなら経営者、まちづくりなら、町議員を招き島の課題を話し合う。久米島空港のカフェで提供するメニューも考えた。「変化の激しい時代を生き抜く力を身に付けよう」と塾長の山本愛美さん(35)▼2020年度の大学入試で「主体的な学び」が評価対象となることを見据え、地域一体で自立心、独創性を育てる▼沖縄に「ゆいまーる」という言葉がある。歌手の森山良子さんが雑誌『島へ。』で紹介していた。皆が結ばれ助け合う意だとか。子どもも高齢者も手伝うサトウキビ収穫のような、共助だ。自ら郷土の明日を開く力と共に、海と生きる東日本大震災の被災地の若者にとって、心の最も深い場所で学ぶべきものがそこにはある。(2017.8.28)