プロ野球の東北楽天戦を球場で見ていると、突然ピーッとけたたましくホイッスルが鳴る。ファウルボールである。プレーから目を離していた観客は慌ててボールの行方を追う。「笛は効果てきめん」と球団職員から聞いたことがある▼きのうの朝、東北地方の街中に笛よりももっと騒々しいサイレンが響いた。北朝鮮の弾道ミサイル発射に市町村が防災無線で対応した。「逃げてください」「頑丈な建物や地下に入って」「空からの落下物は触らないで」とのメッセージが次々と流れた▼職場や学校、隣近所で、朝に食らった不意打ちが随分話題になっただろう。「逃げろと言われても、どこに逃げればいいのか…」「防災無線を聞いたとき、ミサイルは既に日本の上を通過してたんじゃないのか」。多くの人はそんな疑問や感想を持ったに違いない▼しかし、と思う。サイレンの基になる全国瞬時警報システム(Jアラート)は球場で吹かれる笛に似ていないか。野球ファンは観戦には常にファウルボールが伴うことを知っている。日本の平和は今、北朝鮮の投げ込むビーンボールで脅かされる▼常識では計り知れない国がまたも暴挙である。いつどこへ飛ばすか分からないミサイルにはしっかりと身構えたい。サイレンはそんなことを警告している。(2017.8.30)