城門を打ち破ろうと、城外から大勢で丸太を抱えて門扉を突く。城内ではつっかい棒で抵抗。洋の東西を問わず軍記物の映画やドラマでよく見るシーンだ▼物理の公式に疎くても、丸太などに勢いをつけると破壊力が増すのは感覚的に分かる。水害のように自然の力だとなおさらだ。今年7月の九州北部の豪雨では、流出した樹木によって家が倒壊し、押し流された▼流木が橋に引っかかって川をせき止める事態も相次ぐ。昨年8月の台風10号豪雨ではこのために岩手県岩泉町で小本川が氾濫し、被害が拡大した。近年、流木に伴う被害が目立つのは短時間の豪雨に加え、森林の手入れが行き届いていないことが一因とされる▼国、県管轄の河川区域の樹木の管理は行政の役目だが、個人や企業が参加できる公募伐採制度が各地にある。最も盛んなのは山形。最上川上流を管理する国土交通省山形河川国道事務所は2016年度、民間による伐採面積が36万平方メートルで全国1位だった▼洪水時に水流を妨げる樹木の除去が制度の狙いだが、人々を引きつける理由は別のところにある。伐採後の樹木は無料で持ち帰れるため、ストーブのまきやペレットの原料を確保できる、と好評らしい。きっかけは何であれ、応募者は地域の防災力向上に一役買っている。(2017.9.3)