「火はまるで青と赤のファンタジーであった」。かつて国立音大付属小(東京都国立市)に通った少年が卒業文集につづった一文である。学校行事のキャンプファイアの思い出に触れた。学校関係者は「表現力が豊か」と回想している▼夜空にたなびく煙と燃え上がる炎。都会育ちの少年にとって、それは現実と空想がない交ぜになった刹那であったろう。そのときロマンの種火みたいなものがぽっと胸の奥にともったのかもしれない。秋篠宮家の長女眞子さま(25)と婚約が内定した小室圭さん(25)である▼きのう、2人の共同記者会見を見た。出会いから交際5年。小室さんはそれぞれの留学先が英と米で離れ離れになった時期に触れ、「連絡を取り合って」と愛を育んだことを語った。恋を実らせる-。秘めた思いにまっすぐ向き合った▼眞子さまはそんな人柄に引かれ、「太陽」と表現。一方、小室さんは「月のように静かに見守ってくださる」と返した。ならばもう一つの星、地球は2人で培う「信頼」ということか▼百人一首に収まる紫式部の恋の歌を思い出す。<めぐり逢(あ)ひて見しやそれともわかぬ間に雲隠れにし夜半の月かな>。曇る夜空、あなたの顔が見えずやきもきする必要はもうない。輝いて照る。幸せな恋人同士がはにかんでいた。(2017.9.4)