マージャンをはじめ勝負の修羅場をあまたくぐり抜けた作家の故色川武大さんが、負け込んで苦しんだときの対処法を随想で説いている。「バックして助走をつけてくれば、飛び越えられたかも、と思うんだ」(自著『うらおもて人生録』)▼突如目の前に現れた壁。何度ぶち当たってもらちが明かない。ここは一つ身を後ろに引き走行距離を取ってみなさい、と助言する。「時間がかかっても納得がいくまで立ち止まっていた方がいい」。ゆくゆくはそれが実力の基になっていくらしい▼プロ野球東北楽天が泥沼にはまった。10連敗。オールスター戦までの前半戦を首位で折り返しながら、勝ち越し数の「貯金」を最多31から15に減らし順位は3位に急降下。日本シリーズ進出が懸かるクライマックスシリーズ(CS)へ向けた戦いに暗雲が漂う▼思えば、人は苦境のときにこそ値打ちが決まる。イチロー選手(マーリンズ)は言った。「壁というのはできる人にしかやってこない。越えられる可能性がある人にしかやってこない。だから壁がある時はチャンスだと思っている」と▼踏ん張りどころである。連敗も反撃の助走距離を伸ばしていると考えればどうってことない。「禍福はあざなえる縄のごとし」と言うではないか。逆転の歓喜が待っている。(2017.9.5)