北海道富良野市にテレビドラマ『北の国から』(原作・脚本倉本聡氏)の放映30周年を記念したモニュメントがある。プレートには「自然はお前らを死なない程度には充分(じゅうぶん)毎年喰(く)わしてくれる。自然から頂戴しろ」と刻まれている▼最後のシリーズで主人公黒板五郎が子どもの純と蛍(ほたる)に送った遺言の一節である(2002年放映)。冬に雪が降り、春になれば日が注ぐ大地。土は肥え、森林が育ち、川には水が注ぐ。生かせるものは生かして暮らしてゆけ、と説く▼きのうの本紙の宮城県内版で「加美町、地域新電力に参入」の記事を読んだ。町内の太陽光発電などから購入し、来年度から東北電力より安価で公共施設などへ販売するという。契約電力量は事業5年目に6メガワットを目指す。59の公共施設を賄ったほかに民間へも供給できそうな規模である▼自治体が再生可能エネルギーを利用した新電力事業に乗り出す事例は東北で山形県や東松島市、北上市などがある。多いとはまだ言えないが、電力を「地産地消」する自治体が増えれば隣接市町村も後に続きやすくなるだろう▼五郎の遺言にはこんな文言もあった。「ここには何もないが自然だけはある」。東京電力福島第1原発事故から、われわれは何を学んだのか。今後の暮らし方が問われている。(2017.9.7)