3月末に避難指示が解除された福島県飯舘村で、小型無人機ドローンが飛ぶのを目にした。「帰還した農家と近隣の様子を撮っている」と、操縦していた川崎市の新井裕介さん(65)。「空からでないと見えないものがある」。2年前から現地の映像を記録する▼地上から上昇するドローンのカメラが、何か大きな黒い物体を捉えた。その数は増えて山脈のように広がり、水田を埋めた除染廃棄物のフレコンバッグだと分かる。記録映像の一端で、除染の実態、被災地の風景の無残さを「鳥の目」で伝える手だてになる▼ドローンによる撮影を仕事にしてきたが、「最近多いのが全国の農業現場への出張」。農業者から操縦技術の講習を依頼され、今年は既に50回以上。ドローンにタンクを積み、農地に肥料や農薬を散布するなどの用途が広がっている▼農地の規模拡大、高齢化や後継者不足、コスト削減のためだが、需要急増の背景にあるのがGPS(衛星利用測位システム)の進化。位置情報を入れれば、農地の端から端まで自動で作業をするという▼「みちびき」。日本独自のGPS網づくりで政府がこれまで3機打ち上げた衛星で、精度をさらに高め、農業分野では無人トラクターを利用できる時代になるそうだ。担い手不足に悩む被災地の助けとなるか。(2017.9.8)