横綱稀勢の里関が土俵に登場すると、一番の歓声と拍手が上がった。仙台市で先月あった大相撲夏巡業仙台場所。19年ぶりの日本出身横綱、3月の春場所で負傷を押しての劇的優勝で人気絶頂だ。相撲好きの知人は「サインをもらった。宝物」と喜んだ▼その稀勢の里関や史上初の優勝40回が懸かる白鵬関、そして鶴竜関の横綱3人が10日からの秋場所を休場する。前看板は豪華な「4横綱時代」。前売り券が瞬く間に完売という盛況だが、結局は日馬富士関が一人横綱。落胆したファンは多かろう▼「委員にも涙した人がいた。協会にとって大変いい結果」。春場所当時、負傷に耐えて強行出場した稀勢の里関を横綱審議委員会もこう持ち上げた。が、話題、興行面は大成功でも、必死に闘った当人はけがを治せないまま、ついに今回で3場所連続休場▼先の2場所で強さを見せつけ優勝した白鵬関は、膝の古傷を痛めた。4横綱共に30代で満身創痍(そうい)。加齢で「稽古も思うようにできなくなる」というのは浅香山親方(元大関魁皇)の話だ▼「休場ばかりの横綱じゃしらける」「年6場所と巡業ではきつすぎる。見直しを」「2場所分の有休を認めては」などの声がネットにある。はやりの言い方だと「力士ファースト」の環境で、皆が最高の勝負を見たい。(2017.9.9)