ミャンマーの人口約5千万のうち7割ほどを占めるビルマ民族は、性別に関係なく名前に姓を持たない。国家顧問兼外相のアウン・サン・スー・チー氏(72)も例外ではない。上から下まで全てがファーストネームである▼「・」は報道機関が読みやすくするために付けている。ただ、区切った語「アウン」は優れる、「サン」はまれな、「スー」は集まる、「チー」は清らかなという意味を持ち、つなぐと「世にもまれな清らかさあふれる優れた人」ということになる▼まさにノーベル平和賞受賞者にふさわしい名である。それが今、世界中から疑問符「?」を集めている。イスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害問題で、ようやく「全ての人権侵害を非難する。国際的な調査を恐れない」と述べながらも、逆に治安機関による迫害を否定した▼国際世論は肩透かしを食らった。同じく平和賞を受賞しているマララ・ユスフザイさんもがっかりしているのではないか。先にツイッターで「私はこの悲劇を非難してきた。スー・チー氏が同じようにすることを待っている」と期待を寄せていた▼ビルマ族だけでなく多民族国家を印象付けようと文語体の国名に変えたミャンマー。軍政が今なお残るなら、闘うスー・チー氏の姿を見たい。清らかな人でいてほしい。(2017.9.21)