「2014年産米ショック」は東北にとって今も苦々しい。3年前、主要銘柄米の米価(60キロ当たり概算金)が3割前後も下落。市場のコメ余りを反映したが、福島県浜通りのコシヒカリは4200円も暴落。「原発事故の風評が織り込まれた」と地元は憤った▼いま稲刈りが進む本年産米は様変わりしたように値上がり。牛、豚の飼料米の栽培が増えてコメ余りが緩和され、外食産業の需要も高い。福島のコメはやっと暴落分を解消したが、他県は一歩先で、高値のコメで競争している▼目立つのは1万5千円前後の山形県の「つや姫」や青森県の「青天の霹靂(へきれき)」。岩手県が今秋売り出す「金色(こんじき)の風」も1万5千円を超える。国の減反政策が本年度で廃止。より競争の激しい市場で、各県は自慢のブランド米で消費者をつかもうと躍起だ▼農業が復興途上の南相馬市。県の奨励品種「天のつぶ」など栽培米の大半が飼料用だ。国が補助金を出し、収入は食用米に近い。「だが等級検査はなく、虫食い米も買われる。農家本来の意欲は薄れる」と同市原町区太田の奥村健郎さん(60)▼農業法人の仲間と今年、主食用のコシヒカリ栽培を再開した。作付けの一部だが、3年かけて増やす。「風評に諦めがある限り、浜通りのコメは復活できない。挑戦しなくては」(2017.9.22)