知り合いのテレビ局アナウンサーと久しぶりに酒を酌み交わした。話の中で「俺たちにも責任があるぞ」と何度も嘆く。「『勝ち切る』って選手が言うもんだから、局もそのまま放送する。そのうち共通語になっちゃうんだ」▼後日、同じく言葉で飯を食べている身なので本紙を開いた。例えばサッカーJリーグの記事。ベガルタ仙台の選手が堂々と言っていた。「勝ち切れるように頑張る」と。なるほど、「走る」「登る」のような動詞と違って「勝つ」は動きが伴わないから確かに変である▼文化庁の国語に関する世論調査で新しい表現の浸透度が年代別で明らかになった。驚くという意味の「目が点になる」は50代で7割もの人が使い、くじけるという意味の「心が折れる」は若者向きであるらしく20代で8割近くの人が使っていた▼新しい表現はどうやって広まっていくのか。文化庁は「『目が点』は漫画表現が由来のようです」と分析。そういえばオジン世代は1970年代をはっきり覚えている。故谷岡ヤスジさん作のギャグ漫画。鼻血ブー!! アサーッ!! どれほど目が点になったことか▼要は新しい表現に力があるかないか、である。「勝ち切る」も連勝街道を突っ走ってこそサポーターの心に響くはず。ベガルタ仙台の皆さん、聞こえてますか。(2017.9.23)