秋田市の伝統工芸品に「秋田銀線細工」がある。髪の毛ほどの細い銀線を使い、熟練の手技を駆使して花びらなどを形作っていく。白く柔らかな輝きを放つブローチやイヤリングなどは極微の芸術品の趣がある▼古くは「しろがね」と呼ばれるなど美しい光沢を持つ銀は、空気中に硫黄化合物が含まれていると黒ずんでくる。ただ、手入れを怠らないと、くすんだ渋みのある色になる。いわゆる「いぶし銀」だ▼銀そのものよりも、華やかさには欠けるものの、実力や人間的に味わい深い人を指す場合に使われることが多い。きょう秋場所の千秋楽を迎える大相撲にもいる。幕内最年長で、北秋田市出身の西前頭10枚目、豪風(たけかぜ)関(38)もその一人▼学生横綱から2002年に角界入り。身長171センチと小兵ながら、低く当たる押し相撲を通してきた。先場所は学生相撲出身者の幕内出場回数記録1183を更新。今場所は幕内在位場所が83となり、こちらも1位になった。初日から5連敗したものの、取り口に衰えは見られない▼帰省時には、学校や福祉施設などへの慰問を欠かさない。関取としての活躍に加え、そうした活動もあって、昨年秋田県民栄誉賞を授与された。「気は優しくて力持ち」。古き良き相撲取りの面影を残す数少ない力士でもある。(2017.9.24)