東北には、そばの名産地が数多い。おいしい一枚を食べたくなって、車を走らせた。山裾に分け入る舗装路は幅を狭めたり、広くなったり。海沿いの街からは20分ほどだろうか▼気仙沼市八瀬地区の月立小旧校舎には盛夏を除き毎月第3日曜日、「八瀬・学校そば」ののぼりが立つ。職員室だった食堂でいただいたそばは、地域で収穫されたソバの実を使った「二八」で、適度な喉越しと歯応えが自慢だ。つゆも麺をしっかり受け止める▼かつて映画のロケにも使われた風情ある大正時代の建築も相まって、満足できる食事になった。2007年2月に始まった学校そば。運営するのは住民で組織する団体「八瀬・森の学校」だ。自然観察や食育体験会開催などの活動をしている▼そばを打ち、ゆで、天ぷらを揚げる。調理場では60~70代中心に約20人が動き回る。事務局長の吉田勝彦さん(69)は「そばを作るのが好きな人間が集まる、デイサービスのようなもの」と笑う。毎回、市内外からそばっ食いが150人ほど集まるという▼過疎化の進展などで、地域を取り巻く環境は厳しさを増す。それだけに「多くの人たちに訪れてもらって交流人口を増やし、農山村の良さをアピールしていきたい」と意欲を燃やす。次回の学校そば開催は10月15日の予定だ。(2017.9.25)