「地球と妻と離れ、時間のない宇宙を飛ぶのは寂しい」。英国の歌手エルトン・ジョンさんが1972年にヒットさせた『ロケットマン』。孤独な宇宙飛行士のラブソングだが、「名曲を汚された」と思った人も多かろう▼「ちびのロケットマン」。トランプ米大統領が先日の国連演説の後、ミサイル開発に突き進む北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長をこうやゆした。政敵への蔑称は悪癖で、昨年の大統領選での「ねじ曲がったヒラリー(クリントン)」や、「うそつき」「小者」など多々ある▼国連演説の中でも、「世界の脅威」である同国を「完全に破壊する」との選択肢まで公言した。金氏もすかさず「史上最高の超強硬措置」を検討すると表明し、「精神が錯乱」「正気でない」と応酬は過熱。「太平洋上で水爆実験を行うことになるのでは」との同国外相発言も飛び出した▼自制は働くだろうと願いたい。が、敵対し軍拡を競った国々の緊張関係が、サラエボ事件を引き金に「まさか」の戦争にエスカレートしたのが第1次世界大戦。歴史を動かすのはたった1発の銃声だ▼『ロケットマン』の歌詞には「ヒューズを焼き尽くす」という一節がある。それまで宇宙を飛び続けるのだが、ヒューズには爆薬の導火線という物騒な意味も。まさか…。(2017.9.26)